「あなたのお抱え相談室」を運営する大沼 縁(ゆかり)さん(以下:縁さん)。胎内記憶教育認定講師、育児アドバイザーとして、子育てや人間関係など、さまざまな悩みを抱える方に寄り添っています。

縁さんが大切にしているのは、「あなたはどうしたい?」と相手の気持ちや意思を尊重すること。胎内記憶教育との出会いをきっかけに、子どもとの関わり方だけでなく、自分自身や人生に対する見方も大きく変わったそうです。

今回は、縁さん自身の子育て経験を交えながら、胎内記憶教育の考え方や、子どもや自分自身にどのような変化があったのか、お話を伺いました。

いつからでも学べる胎内記憶教育

インタビューに答えてくださった、大沼縁さん

——胎内記憶教育について具体的に教えてください。

縁さん:胎内記憶教育とは、子どもたちが語る胎内記憶の調査研究をもとに、赤ちゃんや子どもたちと一緒につくられた、お腹の中から始める教育法だと言われています。

大人も子どもも、共に幸せになることを目指す学びで、私が所属する一般社団法人日本胎内記憶教育協会では、胎内記憶によって内なる平和に気づくことが、家庭の平和、ひいては世界の平和につながると考えています。代表理事の池川明先生は産婦人科医で、私は池川先生から直接教わりました。

私なりにお伝えすると、まず大切なのはフラットな視点です。「良い・悪い」「強い・弱い」「大きい・小さい」で判断せず、相手を1人の人間として尊重する。

そして「私はこう思うけれど、あなたはどうしたい?」と、お互いに双方向で対話していく。赤ちゃんでも、思春期の子でも、大人でも、そのスタンスは変わりません。

もう1つは、俯瞰して見ることです。子育ての当事者になると「大変だ」で頭がいっぱいになりますが、「この子はなぜ泣いているんだろう」「この子にもちゃんと意思があるよね」と、一歩引いて見てみる。私自身、この学びで人生の捉え方が180度変わりました。

——胎内記憶教育を学ばれる方はどのような方が多いでしょうか?

胎内記憶教育は、妊娠中や子育て中の方だけのものではありません。独身の方から年配の方まで、性別も年齢も問わず、どなたにも響くところがあります。

「胎内記憶」という言葉から、赤ちゃんを育てている人向けと思われがちですが、胎内記憶があるかどうかも関係ありません。

本当は妊娠前から知っていただくのが一番よいですが、実際に受講されるのは、子育てが一段落した方が多いんです。

「もっと早く知っていればよかった」とおっしゃる方も少なくありません。でも、人生の捉え方の学びですので、遅すぎるということはなく、いつからでも学べます。

——もし妊娠中の場合、お腹の中の赤ちゃんとは、どのように関わるのですか?

縁さん:赤ちゃんはお腹の中から、言葉ではないコミュニケーションを取っていると考えます。お母さんと一心同体ですから、五感のうち自分の得意な感覚で、赤ちゃんの思いを受け取ることができるんです。

最初はすれ違っていても、続けるうちに「こう思っているのかな」となんとなく分かってくる。正解も不正解もないので、「なんとなく」で十分です。

方法の1つに「キックゲーム」があります。お母さんがお腹をポンと1回叩くと、赤ちゃんが1回蹴り返してくる。YESなら1回、NOなら2回と決めておく人もいます。

よく胎教といいますが、きれいな絵を見せる、音楽を聴かせるというのは一方通行になりがちです。大切なのは双方向であること。

「これ好きなんだね」と話しかけて、反応を受け取る。お母さんは「私にも受け取れる」と自信になり、赤ちゃんも「受け取ってもらえた」と自信になります。

生まれてからも同じで、鼻を拭くときは「拭くよ」、おむつは「替えてもいいかな」、服も「どっちがいい?」と選んでもらう。嬉しいときは手足をバタバタさせるし、嫌なときはプイッと横を向くこともあります。

子どもの意思を尊重する子育て

——胎内記憶教育を学ぼうと思ったきっかけは何でしたか?

縁さん:私は子どもが3人いますが、末っ子の次男が思春期になったとき、まったく言うことを聞かなくなってしまったんです。「この子の人生はどうなってしまうんだろう」と不安の中で過ごしていました。

上の2人はなんとか育ってくれたので、私は自分の子育てを「成功した」と思っていたんです。ところが10年離れて生まれた次男は、その路線にまったく乗らない。中学3年生で野球部、体格のいい男の子と、毎日取っ組み合いの喧嘩をしていました。

正直、「胎内記憶」という名前はスピリチュアルな感じがして、興味がなかったんです。でも「教育」と付いているので、系統立てて教えてくれるのかなと思って受けてみました。

そしたら、受講初日に池川先生から「良かれと思って、どんどんお子さんの道を狭めていませんか?」と言われたんです。「将来困らないように」と思うのが親心ですから、まさにその通りのことをやってきたと気づきました。

「こうすべき」「こうしなくちゃ」という枠に囚われて、私自身が苦しかったんだと思います。その日は家へ帰って、次男に「ごめんね」と伝えました。「自分で決めてきた道があるなら、もう何も言わないから、その通りにしなさい」と。覚悟を決めたんです。

——「言わない」と決めても、つい口を出したくなりませんでしたか?

縁さん:そうですね。言わないと決めても、本当は言いたくなるんです。ゲームとYouTubeばかりで、勉強もしていない中学3年生だったので。

それでも続けるには、自分を満たすしかありませんでした。不思議なことに、私が夢中になれるものがあれば、次男のことが気にならなくなるんです。

「シャンパングラスの法則」というものがあります。一番上のグラスが自分、その下が家族、その下が地域や職場、さらにその下が社会。

お母さんは家族のグラスにシャンパンを注ごうと一生懸命になって、自分のグラスは空っぽになりがちです。しかし、空っぽの心で子育てをしてもうまくいきません。だから、まず自分を満たすところから始めるんです。

——何も言わずにいることは、「放任」とは違うのでしょうか?

縁さん:私も最初は、「これは放任なんじゃないか」と思いました。ただ、見守りというのは、相手のことをいつも気にかけながら放っておくことで、放任は気にかけずに放っておくことです。次男のことも、口では何も言わなくても、心ではずっと気にかけていました。

私は子育ては「覚悟と手放し」だと思っています。生まれたときは、あまりにもふにゃふにゃで頼りないから、「私がなんとかしないと、この子は死んじゃう」と思って頑張るんです。

でも、大人の世界と違って、子育ては努力してもうまくいきません。泣きわめく子どもは、どれだけ努力しても泣き止まないので途方に暮れますよね。

そこで、「なんとかしなきゃ」を手放す。泣きわめく子どもの相手にくたびれて親の方が先に寝ると、子どもも勝手に寝ます。「こうでなくちゃならない」をどんどん手放していくと、子どもも変な方には進まないんです。

「自分が言わないと、この子は絶対にやらない」と思うのは、自分が生んだ子どもを信じていないということですよね。私もそうしてきたし、みんなやってしまうんです。

大事なのは、気がついたときに「あ、違ったな」と思えること。そして「ちょっと様子を見てみようかな」と見守ってみる。すると、見えてくるものがあります。

完璧な子育てなんてないので、失敗してもいいと許可してあげるのも大切かなと思います。

——その後、息子さんに変化はありましたか?

縁さん:正直に言うと、言わなくなってから2年ほどは、何も変わりませんでした。高校には進学できましたが、ゲームとYouTube三昧で、成績も低空飛行のまま。見守っていても、すぐに何かが変わるわけではありませんでした。

変わり始めたのは、野球部の仲間の影響で、次男があるアイドルを好きになってからです。ある日、次男が「アイドルの握手会に行きたい」と言い出しました。

部活が土日もあって忙しいのにいつ行くのかと聞くと、「テスト前の1週間は部活がないから」と。「勉強もしないで行くの?」と返すと、「勉強するから」と言うんです。

私は笑って、「やれるもんならやってみな。やれたら行ってもいいよ」と言いました。すると、テストの2週間前から机の前に座り出したんです。勉強のやり方は知らないので、成績が上がったわけではありませんが、勉強する習慣が身に付き始めました。

進路を決める時期になり、私は次男が大学進学することを期待しておらず、「大学に行かなくてもいいよ」と言ったら、「誰が行かないって言った?俺は行くぞ」と自分で決めたんです。その後、一浪して大学に進み、今年の春に就職が決まって、今は社会人として働いています。

今では次男と一緒に出かけることも

あれだけ毎日取っ組み合いの喧嘩をしていた次男ですが、今は子どもたち3人の中で一番私と仲良しです。

私が変えたのは、次男ではなく自分の見方でした。周りを変えようとしても、人は絶対に変わりません。できるのは、自分の見方を変えることだけ。自分が変わると、こんな風に変わっていくんですよね。

子どもとの対話を変える質問

——縁さんの講座を受講した方で、何か印象的なエピソードがあれば教えてください。

縁さん:不妊でお悩みの方が受講されることが多いので、ある受講生さんには、「今は自分を満たすことをやってごらん」とお伝えしました。

一番やりたいことを聞くと、学生時代から続けていたオーケストラでの楽器演奏をまたやりたいと。「思う存分楽しんでみて」と伝えたところ、講座が終わって1年もしないうちに妊娠されました。こういう話は、実はよくあるんです。

また、流産や死産で、ずっと自分を責めてきた方もいます。私自身も流産を経験しており、つらかったときもあります。胎内記憶を語る子どもたちの話では、「ちょっとだけ地球を体験したい」と、短い旅のつもりで来る子もいるそうです。

宿った時点でその子は地球に生まれたことになり、子どもたちは、地球を体験できて大喜びでお空に帰っていく。だから、「お母さんは何も嘆くことはないんだよ」と池川先生は講演でお話しされています。

胎内記憶教育認定講師にも、お子さんを何人も見送った方がいます。友人に誘われて講演を聞き、この話に涙があふれ、救われた気がしたと話す方もいました。

ただ、お子さんを失った直後はなかなか受け入れられないと思います。時間が経っても自分を責め続けている方には、その方のタイミングで届けられたらと思います。

——子育てや教育の現場では、どのように活かしていますか?

縁さん:私は小学校の教員でもありますが、今の子は自分のことを言葉にするのが苦手です。「お腹が痛い」と言えば、薬も病院も大人が用意してくれるので、どれくらい痛くてどうしたいのかを伝える経験がないんです。

そこで、自分の思いを言葉にするために3択にします。「あと5分で授業が終わるから我慢できる」「トイレに行きたい」「保健室に行きたい」。保健室を選んだら、たとえサボりだったとしても送り出します。自分で選んで言えたこと自体が花丸だからです。

どうしたいかを言えないのは大人も同じ。「どうしたいの?」と聞いていくと、「本当はこれがやりたかった」という言葉が出てきますよ。

——最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

縁さん:親子関係のモヤモヤを抱えた方のお悩み相談室のような存在になって、一歩踏み出せるまで寄り添いたいです。お話会や講演会も、声をかけていただければどこへでも伺います。

伝えたいことは、まず自分を大事に、自分が自分を楽しむことを最優先にしてほしいです。周りの目を気にしすぎず、人に迷惑をかけない最低限を守れていれば、自分を最優先にしていいんです。

大事なのは、ブレてもスッと自分に戻れること。何度でも自分に戻ってこられるように、まず自分を満たしてあげてください。

——縁さん、素敵なお話をありがとうございました!

胎内記憶教育は人生の土台を見つめる学び

胎内記憶教育は、妊娠中や子育て中の人だけが学ぶものではなく、子どもの有無や年齢に関係なく、誰でも学べます。

目の前の相手を「こうあるべき」という枠にはめるのではなく、「この人はどうしたいんだろう」と視点を変えてみる。そんな小さな意識の変化が、人との関係や自分自身との向き合い方を見つめ直すきっかけになるのかもしれません。


初回30分無料個性診断をしています。まずは、自分を知ることから始めてほしいなと思って始めたのですが、話の中で、お悩み相談になることも多いんです。ぜひお気軽にお話しましょう。

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この記事を書いた人

フォスター詩織

Kotonohaメディア代表。丁寧に声をすくい上げ、社会へ届ける活動を軸に執筆を行う。多様な生き方と価値観を尊重し、共感と気づきを生む記事制作に尽力中。